ブランド魚、全国区に 平成と大分

 平成18(2006)年11月24日。「関さば」「関あじ」が、地域名を冠したブランドの保護を目的とする国の新制度「地域団体商標」を取得した。水産物では全国第1号。大分の食の代名詞ともいえる高級魚のブランド名が、国のお墨付きを得た。
 「釣った魚を適正な価格で買い取ってほしい」―。同商標の取得は、佐賀関漁協(現県漁協佐賀関支店)組合員の声が出発点だった。昭和63年、業者の値付けに疑問を持つ組合員の要望に応えて同漁協は業者を介さず、漁師から魚を直接購入して自ら売る「買い取り販売」に乗り出した。翌年には、県外での独自の販路開拓を始めた。
 関さばは高単価が見込める刺し身用として売り込もうとした。だが、県外では鮮度保持が難しいサバを生で食べることへの抵抗は強かった。PR会場としての使用をホテルから断られたこともあったが、確かな鮮度と味は消費者に衝撃を与え注文は増えた。「1匹100円だったサバが県外で3千円になった。佐賀関の街も活気があふれていた」。同漁協で参事を務めた岡本喜七郎(75)=大分市佐賀関=は当時を振り返る。
 人気の一方で増加した偽物対策も進めた。大分大学専任講師だった望月聡(60)=現同大教授=の研究を参考に、一本釣り、生け締めなどの鮮度を保つ効果があるとされる手法を経て出荷するものだけに、関あじ、関さばのマークを付ける体制を整備した。

 全国区にのし上がったブランド魚も、現在は漁獲量減少に悩んでいる。平成4年に270トンあった関さばの漁獲量は、同29年には48トンに激減。関あじも同じ期間に210トンから170トンに減った。元佐賀関町役場職員で水産を担当した日高俊次(62)=同市佐賀関=は「水産資源が減っていることは間違いない。何らかの資源管理をして回復させることが必要」と指摘する。
 漁獲量減少は佐賀関だけではない。国の統計によると、平成元年に12万5千トンあった県内の漁獲量は、同27年には3万5千トンに減った。県によると、イワシが不漁になったことに加え取り過ぎによる資源の減少、海洋環境の変化など複合的な要因が背景にある。

 先細る“取る漁業”に代わって台頭してきたのが“育てる漁業”。マグロ養殖など新技術の登場もあり、県内では同22年に養殖漁業の生産額が漁船漁業を逆転した。けん引するのは同年、本格的に販売が始まった「かぼすブリ」。
 県産養殖ブリは長く、「大分」ブランドの確立と、天然魚と比べて質が劣るという消費者のイメージ克服の二つの課題を抱えてきた。県と養殖業者らが目を付けたのがカボスだった。カボスの成分を餌に混ぜると、ブリの味わいがさっぱりした。癖のなさは新たな客層を切り開き、販売初年に90トンだった出荷量は同28年に570トンに増加した。
 試作段階からかぼすブリに関わる臼杵市の販売業者、重宝水産。通常のブリよりも約15%高く売れる販路を確保しているという。社長の佐々木兼照(68)は「かぼすブリがあって良かったと感じる」とその効果を強調する。
 かぼすブリの開発にも携わり、長く県の漁業を見てきた望月は「消費者はより質を求めるようになっている」と、質のさらなる向上の必要性を説く。一方で関あじ、関さばの漁獲量の減少を「食品という面では安定した供給ができないと不利な面が出てくる」と懸念する。新たな時代に向け、県漁業には量と質の確保という課題が改めて突き付けられている。 =敬称略=
2018年10月5日

平成と大分

平成とは、この大分にとって何だったのか。来るべき次の時代のために、30年の歩みをひもといていく。

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