『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』しいたけ.著 彼にも、きっとそんな季節があった

 たとえば、「運の上げ方」について。ネットを見ればその方法が、諸説入り乱れまくっている。「行動すれば舞い込む」とか「大事なものを手放せば舞い込む」とか「黄色い財布を使えば舞い込む」とか「トイレを掃除すれば舞い込む」とか。それでもなお、「ついてない」人は一向に減らない。だって「運の上げ方」にまつわる本やグッズが、今なお売れ続けているのだから。

 けれど、この人の手にかかると、遠い彼方にあったはずの「運」が日常レベルに着地する。「しいたけ占い」でおなじみの「しいたけ.」さんである。あなたは私のことを一体どこで見てたのか、と問いたくなるくらい、星座ごとの習性や本質をずばりとつかみ、ふんわりと伝える。その「ずばり」と「ふんわり」のベクトル選びが絶妙で、みるみるうちに超売れっ子占い師となった。

 占い本ではなくエッセイ集として編まれた本書でも、その絶妙さがきらめいている。例えば、「運」は他者からもたらされるものではなく、自発的に「やったるで!」と思える者(時)にこそ訪れる、という説。得体の知れない空の上の誰かの一存ではなく、自分自身のさじ加減で「運」はコントロールできるのだ、と思うことによる心強さ。著者は揺れる者に寄り添い、それでいて踏み込みすぎずに、「あなたの手で、すぐにでもできること」を説く。星座や血液型にかかわらず、すべての読み手に向けられた、人生の手引きだ。

 「しいたけ.」さんは人生を大いに語る。「逆境」を語り、「恋愛」を語り、「人間関係」を語り、「自分軸」を語る。自分が壊れてしまわない程度に、自分を自分でアゲていく方法。戦わずに、受け入れ、しのぐ方法。一貫しているのは、「自分自身を否定しない」ことだ。悩んだり苦しんだりしているあなたの人生は、決して、間違っていないこと。自分にダメ出しばかりしている、そんな読み手の心を著者は体感で知っていて、共感で言葉を連ねる。

 まるで、かつての自分に語りかけるように、彼はあらゆる悩みを抱える読み手に、当事者として語りかける。書き手の実感から発せられた言葉だから、読み手に深く届く。公園のベンチで、静かに隣に座るみたいにして、彼はこれからも、読み手に語りかけるのだろう。

(KADOKAWA 1300円+税)=小川志津子

2019年1月11日

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