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命守る早期避難 日田市上宮町、独自判断で指示

福岡・大分豪雨2年(中)

 梅雨前線が対馬海峡付近に停滞していた6月29日午後6時50分。日田市上宮町(じょうぐうまち)(36世帯95人)の各戸に備え付けられた放送端末に、オレンジ色のランプがともった。音声が流れる合図だ。
 「大雨の予報が出ています。明るいうちに避難してください」
 呼び掛けたのは、地域の自主防災組織で「情報班」に所属する藤井隆幸さん(70)。避難場所の大鶴公民館(同市大鶴本町)には翌朝にかけて藤井さんら約20人が身を寄せ、無事だったことに胸をなで下ろした。

 市は2017年7月5日の福岡・大分豪雨で記録的な大雨に見舞われた。
 上宮町は地域を流れる鶴河内川が氾濫。濁流が家々を襲ったものの、住民は公民館に逃げるなどしたため人的被害はゼロだった。
 早期の避難を後押ししたのが、当時自治会長を務めていた藤井さんの〝独自判断〟の放送だった。市が避難指示を出す5時間以上前から計3回、スピーカーを通じて自主避難を訴えた。
 「すぐに逃げてください。無理だと思ったら家の2階や山の反対側に避難してください」「これが最後の放送です」
 祖父母から教えられた鶴河内川の「危険水位」の目印となる岩が水没し、「危ない」と確信していた。

 藤井さんが災害の恐ろしさを実感したのは12年の大分県豪雨だ。
 自宅近くの山が崩れた。「衝撃的な光景だった」。人生で初めて避難を経験し、以降は雨の音が聞こえると、居ても立ってもいられなくなった。
 「他の住民も同じではないか。恐怖心で避難スイッチが入りやすくなった」
 昨年7月の西日本豪雨の際も、地区に残っていた約30世帯80人のほとんどが避難した。

 自然災害は広域化、激甚化の様相を呈している。一方、避難行動に対する意識は住民に広く浸透しているわけではない。
 西日本豪雨では、自治体から避難勧告が出ていたものの、「大丈夫だろう」と自宅にとどまり犠牲になった人が岡山県などで続出。
 大分県全体でも避難勧告・指示を受けた住民の1%しか逃げず、約1万5700世帯・3万9300人に指示が出た日田市も2%にとどまった。同市の中でも、被災経験の有無によって温度差が生まれている。

 上宮町は福岡・大分豪雨の後、自主防災組織の核となる防災士を2人増やし、4人にした。
 大分大減災・復興デザイン教育研究センター(大分市)の小林祐司センター長(45)は指摘する。
 「最後の鍵は個人と地域の自主的な判断。想定を超える災害が続いており、私たち住民も変わらなければならない」

<メモ>
 県は住民避難促進のため、地域での「共助」の推進などを柱とするアクションプログラムを3月に策定した。気象庁も5月、豪雨で土砂災害や洪水の危険が予想される場合の行動を5段階表示する「大雨・洪水警戒レベル」の運用を開始。レベル4で「全員避難」など、段階に応じて住民が取るべき行動を明示した。
※この記事は、7月3日大分合同新聞朝刊19ページに掲載されています。
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