大分県内ニュース
地域密着!郷土のニュースとスポーツ

岐路に立つ豪雨被災者 「みなし仮設」期限迫る

福岡・大分豪雨2年

 高さ2・5メートルの盛り土の上に、真新しい家が立っている。
 6月29日。日田市北西部にある上宮町(じょうぐうまち)の森山誠富(せいとみ)さん(69)は、完成間近の自宅で排水設備の設置作業に汗を流していた。
 かつての自宅は2017年7月5日の「福岡・大分豪雨」で濁流に襲われた。そばを流れる鶴河内川が氾濫し、床上約2メートルまで浸水。1階には無数の流木が突き刺さった。全壊だった。
 森山さんは妻(67)や近隣住民と2階に逃げて無事だったものの、「家が崩れ落ちるかと思った。生きた心地がしなかった」。

 市が「みなし仮設住宅」として借り上げた同市北友田のアパートに夫婦で身を寄せた。集合住宅に暮らすのは初めてで「他の住民に気を使うし、落ち着かない日々」を過ごしてきた。
 みなし仮設の入居期間は2年。8月中旬に期限が迫る中、愛着がある元の場所に生活の拠点を再建することを決断した。
 12年の大分県豪雨でも浸水被害を経験しただけに、「もう二度と同じ思いはしたくない」のが本音。建設業や林業に携わってきた経験を生かし、昨年11月から自ら重機を操作して土地をかさ上げした。平屋の住居は、いとこの業者に依頼して建ててもらった。
 それでも―。鶴河内川は土砂がたまり、堤防も壊れたまま。土地を高くしたとはいえ、再び被災する心配は拭えない。
 「あの日の恐怖は忘れられない。だけど、ここが生まれた古里だからね」
 梅雨明け後に新居に移る予定だ。

 記録的な大雨は被災者の生活を一変させた。
 県のまとめ(2月12日現在)によると、県内は日田、中津両市を中心に住宅の全半壊・一部破損が計328棟、床上・床下浸水は計1048棟に上った。
 民間のアパートなどを借り上げて自治体が費用負担するみなし仮設住宅や、公営住宅での生活を余儀なくされた人は日田市で77世帯203人、中津市で1世帯2人。現在も日田市の28世帯59人が仮住まいを続けている。
 入居者は今月から順次、期限を迎える。資金不足や再度の被災の恐れからめどが立たない人もいたが、日田市は「全て住宅確保の方向が決まった」と説明する。新たな住まいを構えたり、他の賃貸住宅に移るなどするという。

 同市豆田地区で1人暮らしをしていた立藤タダ子さん(81)は床上浸水した自宅には戻らず、無償提供期間が終わっても桃山町の市営住宅に残る道を選んだ。
 当初は「友達とも会えない。買い物も大変」と暗い気持ちだった。今も寂しさはあるが、グラウンドゴルフを通じて生まれた近隣住民との交流が日々の心の支えになっている。
 この春、被災した自宅から持ってきていた木彫りの表札を、市営住宅の玄関脇に掲げた。「もう、ここが私の家になったから」
 被災者はそれぞれの道で「日常」を取り戻そうとしている。
※この記事は、7月2日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。
OPENCLOSE

速報ニュース

ニュースアクセスランキング 22時11分集計

ランキング一覧を見る

大分合同新聞ニュース絞り込み検索
記事の絞り込み検索が可能になりました!

期間選択
ジャンル選択
記事種別選択

大分県の天気

PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ
大分合同福祉事業団
インターネットによる募金「かぼす募金」を受け付けています
大分合同新聞
販売店検索はこちら
お近くの販売店を今すぐ検索!
HELLO KITTY×大分合同新聞
おともだちカード
「大分合同新聞 HELLO KITTY」が大切なあなたの気持ちをお届けします。

全てのお知らせを見る

電子書籍のご案内

ページ上部へ戻る