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世界性持った文化を育てる

新見さんのアート日記

(若者とNY巡る)

 3月初旬に、僕が勤務する武蔵野美術大学の学生・卒業生9人と、大分の若者有志6人を連れてニューヨークを駆け足で巡った。世界に目を向けてほしいという願いからだ。
 OPAM(県立美術館)開館時に来てくれたレネ館長率いるノイエ・ギャラリーでは、ウィーン世紀末の巨匠、クリムトの「黄金のアデーレ」を開館前に鑑賞。ハドソン川を渡って、クイーンズのイサム・ノグチ庭園美術館では、俊英学芸員ダーキン君の2時間のフル・レクチャーを受けた。
 美の殿堂MoMAこと、ニューヨーク近代美術館では修復部長の親友ロジャーの計らいで、館内の修復工房に特別に入った。ピカソやセザンヌの実作を前に、スタッフから原状復帰のための保存科学のノウハウやニス落としの講義を受けた。
 夜はめいめい、ブロードウェーや、オペラ、バレエ、コンサート(クラシック音楽の殿堂カーネギー・ホールの隣でMoMAから徒歩3分の場所にある便利な安ホテルだった)に向かい、さらに勉学を深めた。
 ニューヨーク名物、元祖ユダヤ料理のベーグルを楽しみ、リトル・イタリー最古のピザ屋で打ち上げもした。極寒だったが、若い連中はレンタサイクルに乗り、クラクションを鳴らしっ放しのイエロー・キャブの間をぬって、書店のはしごもしていた。

(「グローカル」に)

 異文化や、ものの考え、思想、生き方、立ち居振る舞いまでの異なる生活風習に触れると、人は必ず「ではいったい、自分の文化とは、いかなるものか?」に思いを巡らせる。
 僕は、縁もゆかりもなかった大分県に7年前にやって来て、その風土や気候、人間の在り方や生活に触れて大いに学んできた。それは、一種感激、感動の連続であったといえる。そして、初代館長として5年、学芸員スタッフを率いて、「大分にしかない、世界に通用するミュージアム」を立ち上げ育ててきた。
 人生でこんなに楽しい充実した時間は他になかったほどだ。週の前半は武蔵野美術大学での講義、後半はOPAMのある大分と年間40回近くの往復を繰り返したが、苦にもならなかった。
 僕は、この3月で館長を退任して顧問になった。2019年度いっぱいは、大分に月に2回ほど来て、美術館の企画や若手学芸員の指導に加え、「文化起こし」に活動する若手のアドバイスなどもすることになる。
 大分県民にとってのこれからの標語は、やはり「グローカル」、つまり、世界性を持った自らの風土や文化を育てる―ということになるだろう。世界に目を開いて、自らの足元をしっかり耕す。「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」とは、正反対の生き方だ。そういう生き方が必ず、大分県人には、できる―と僕は信じている。だから、微力ながら、これからも、そのお手伝いをしたいと思っている。
 (県立美術館顧問、同館初代館長・新見隆)
※この記事は、4月2日大分合同新聞夕刊4ページに掲載されています。
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