大分県内ニュース
地域密着!郷土のニュースとスポーツ

試行錯誤のホテル 【切り拓け おおいた新時代】

 昼時。黒服のスタッフたちは広い食事会場の隅々まで目配りした。
 別府市観海寺のホテル「両築(りょうちく)別邸(べってい)」は1月中旬、市内で強化合宿をしたスーパーラグビーの日本チーム「サンウルブズ」の拠点となった。
 全館42室を8日間貸し切りにして選手、スタッフ計約60人を支えた。身長195センチ、体重118キロのフォワード選手ベン・ガンター(21)は納得の表情だった。
 「景色は美しく、部屋も清潔。不便は感じなかった」

 受け入れの打診があったのは昨夏だ。「衣食住でストレスを感じないように」。社長の緒方肇(64)はすぐに寝具の改良に手を付ける。
 海外リゾートを参考に、ベッドと同じ高さの足置きを特注。190センチ超の大型選手でもゆったり睡眠できるサイズを確保する一方、超特大の浴衣をあつらえ、和室は布団3組を並べて「1人用」にした。
 特に食事は気を使った。2カ月前からチームの栄養士に助言を求め、バランスのいいメニューを考えた。ただ「選手はカロリー計算が徹底され、思っていたほど多くは食べなかった。量には誤算もあった」と同ホテル。状況を見ながらボリュームを調整した。
 「従業員の経験と生きたノウハウが財産になった。サンウルブズは外国人選手が多く、コミュニケーションの面でも勉強になった。ビッグサイズの浴衣も役立つ日が来るだろう」
 緒方は今秋のラグビーワールドカップ(W杯)で訪れる外国人客のもてなしを見据える。

 W杯のキャンプ誘致と歩調を合わせ、泉都は積極的にラグビーのトップチームを受け入れてきた。
 九州最大級の647室を備える杉乃井ホテル(観海寺)には昨年1月、サンウルブズの選手ら63人が初の別府合宿で8日間滞在。同6月には、大分銀行ドーム(大分市)でイタリア代表と戦った日本代表チームの54人が4日間を過ごした。
 1日最大約3千人の収容人員を誇る大型リゾート温泉施設にとって、貸し切りで対応するのは不可能に近い。
 そのため朝夕の食事会場と大浴場の入浴はそれぞれ専用の時間帯を設定。チームと一般客の動線を分け、集中できる環境づくりに注力した。
 館内のジムには90キロのダンベル(片手用)を取り寄せ、トップアスリート向けの器具を整備。今後は選手の声を参考に、ベッドの大型化に取り組むことにしている。

 雨が降っていなくても傘を準備しておく―。専務執行役員総支配人の佐々木耕一(71)は、茶道の気配りと心得をチーム受け入れの「肝」に据える。
 合宿では食事一つとってもメニューや時間の変更が起きる。自社のスタイルや既成概念にこだわらず、「ニーズに合わせた臨機応変さが求められる」からだ。
 代表クラスのチーム滞在は制約が多く、ホテル側に目先のもうけはない。それでも合宿が成功すれば地域は盛り上がり、必ず将来の大分ブランド向上につながる―。視線は先にある。
 W杯は海外客が押し寄せる千載一遇のチャンスだ。「大分県には今、世界で通用する高い知名度が求められている。別府と由布院は一つの温泉郷として売り出すことで日本一になることができる」
 県内の観光業界は今こそスクラムを組むときだ、と佐々木は唱える。
※この記事は、2月13日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。
OPENCLOSE

速報ニュース

ニュースアクセスランキング 9時11分集計

ランキング一覧を見る

大分合同新聞ニュース絞り込み検索
記事の絞り込み検索が可能になりました!

期間選択
ジャンル選択
記事種別選択

大分県の天気

PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ
大分合同福祉事業団
インターネットによる募金「かぼす募金」を受け付けています
大分合同新聞
販売店検索はこちら
お近くの販売店を今すぐ検索!
HELLO KITTY×大分合同新聞
おともだちカード
「大分合同新聞 HELLO KITTY」が大切なあなたの気持ちをお届けします。

全てのお知らせを見る

電子書籍のご案内

ページ上部へ戻る