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現代アートの宝箱 利岡コレクション 二宮圭一(美術家)

 大分市寿町の県立美術館で開催中の企画展「現代アートの宝箱 OPAM 利岡コレクション」を見た。小品ばかりだが期待以上に素晴らしかった。
 遠藤利克の「Epitaph」は炭化した黒色が美しい。内藤礼の絵は意外にかわいいし、菅井汲(くみ)の凧(たこ)は愉快で、碓井ゆいの菓子の包み紙で作った極小のワンピースはかすかな毒を含みながら可憐(かれん)…などなど―会場に並んだ作品は多様で、何しろ質が高い。
 まさに「宝箱」なのであるが、膨大な作品群が財閥でもない一個人のコレクションだったと知らされて驚く。大阪在住だった利岡誠夫(1926~2018年)という方が製薬会社の研究者をしながら30年かけて収集したそうだ。
 「もう年なので、全て作家に返却することにしようか」という80代だった利岡さんの言葉を聞いたのは日田市出身の日本画家・岩澤重夫画伯の長男で現代美術家の有(あり)径(みち)さんであった。6年前のことである。
 その有径さんが県に働き掛けて利岡コレクションがOPAMの所蔵品となったとのことである。有径さんの行動がなければ貴重なコレクションは散逸し、縁もゆかりもなかった大分に新たな宝をもたらさなかった。その「奇跡」に感謝し、われわれ県民のものとなった作品を皆さんに楽しんでいただきたい―。
 そんな思いで文章を書いているのだが、何せ現代美術である。なかなかなじみがない。思えば自分自身もそうだった。むしろ、美術に目覚めた10代の頃、現代美術は嫌いだった。意味ありげで思わせぶりな感じに腹が立つほどだった。
 それがだんだんとなじんで気付けば現代美術家を自称するようになり、「現代美術が人類を救う」と思うほどにかぶれてしまった。しかし、追求するほど世間と離れていくむなしさも覚えた。
 そこで、人は何を思って生きているのだろうという関心が生まれ、30代の終わりからNHK大分の地元ニュース番組のコーナーで「小さな肖像」と題したインタビューを始めるようになった。以来、19年続けて確認できたことは、誰もが必死に働いて、生きて、そのこと自体が美しく、美術なんかに構っている暇はないということだった。
 けれども今回の利岡コレクション展。しかも、入場料300円の脳内旅行は確実にお勧めできる。財閥でもない利岡さんが自宅に飾るために収集した作品だけあって楽しい作品が多いからだ。人類を救えないまでも、やはり優れた作品との出会いは人生を豊かにする。ぜひ会場を訪れてお気に入りを見つけてほしい。

 ▽企画展は国内外の一流の現代美術家の作品245点を展示している。来年1月20日まで。ギャラリートークは同13日午後2時。観覧料は一般300円。大学・高校生200円。中学生以下無料。

 にのみや・けいいち:1961年杵築市山香町生まれ。85年、武蔵野美術大学中退後、渡米、渡欧を経て86年、大分市に大分美術研究所を開設した。2007年から月刊セーノで「ものづくりスケッチ」を連載中。
※この記事は、12月29日大分合同新聞朝刊17ページに掲載されています。
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