「演劇人口は増えているように思う」と話す清末典子さん 大分県の演劇は、劇団、もしくは個人で集まってユニットを組み、オリジナル作品を上演するのが主流だったが、近年は各市町村が中心になって定期的に舞台を創作、上演するスタイルが増えてきている。おかげで、劇団中心だった演劇活動のすそ野が広がり、演劇人口は増えているように思う。 文化の祭典「第33回国民文化祭・おおいた2018 第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」が約2カ月間にわたって開催され、幕を閉じた。県内の劇団は各市町村の演劇上演に協力し、普段上演できないような会場での公演、舞台作りはよい刺激になった。また、5ブロックに分けられた会場すべてで演劇、ミュージカルの公演が上演され、どの市町村も地域を題材に地域の人たちを中心に作品を創作した。 最近では古典芸能、医療関係との舞台創作。また、身体障害者の劇団創立、教育現場での演劇の授業、心身疾患の方のリハビリとしての演劇創作など、演劇の可能性が広がりを見せた。高校演劇では3年前に大分豊府高校が全国優勝し、高校演劇も活発に活動している。 このように、演劇人口は増えつつあるように見えるが、創作する者から見たとき、そこに求める質の高さはまだまだはるか遠くにある。それを探し求め、あがくことが創作者の道だと思うのだが、やはり井の中の蛙になりがちだ。 そこに、活を入れてくれるのが、この、劇作家大会だと期待している。 舞台を鑑賞することで作品に触れることはできるが、その創作者ご本人と触れ合うチャンスはない。魅力あふれる作品を制作していくエネルギーを肌で感じることのできるまたとない機会だと思っている。 劇作家大会というお祭りの中で、第一線で活躍されている方々の本物の風や熱に触れ、短い時間ではあるがその時間を共有し、その熱を体いっぱいチャンネルを開き、染み込ませていってほしい。そしてその中で、大分を再認識し、そこから生まれた新しい発見と、大分だからこそできる創作活動につながっていければと思っている。 【プロフィル】別府市出身。おおいた演劇の会会長、大分県民演劇制作協議会代表、日本演出者協会会員、県芸術文化振興会議理事、日本劇作家大会実行委員会副実行委員長・同運営委員長。