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生きる伝説・ショーケン、連ドラ出演 おっさんブームの真打登場

 現在NHK総合で放送中のドラマ『不惑のスクラム』で、“ショーケン”こと萩原健一の17年ぶりとなる地上波連ドラ出演とともに円熟の演技が話題を呼んでいる。昨今、『孤独のグルメ』『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)など、いわゆる“おっさん”ブームが続いているが、ショーケンの連ドラ出演は、その真打ち登場といった趣がある。

【写真】丸くなった?笑顔を見せる伝説の男・ショーケン

■“天才”の名を欲しいままにした稀代の大スター

 萩原健一は1950年生まれの現在68歳。元ザ・テンプターズ、PYGのボーカルで、デビューは1967年の曲「忘れ得ぬ君」。当時17歳だった萩原はその後、メキメキ頭角を現し、ライブで女性ファンが次々と失神するほどの熱狂的な人気を得る。1972年に音楽活動を停止してからは、ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)に新人刑事・マカロニ役で出演。これが人気を決定づけ、その後も『傷だらけの天使』、倉本聰脚本作『前略おふくろ様』(日テレ系)と立て続けに当たり役をものにしていった。

 そんな萩原の伝説は数多い。当時、人気・実力ともにナンバー1だった彼は、その独特で繊細な感性から、“宇宙人”とも呼ばれていた。伝記コミック『松田優作物語』にも登場しており、『太陽にほえろ!』の名物シーン・刑事が走る場面では現場で突然、「演じたくない」と芝居を拒否。だが当時のプロデューサーが「君は天性の存在感を持っている。そんな君がただ走っている姿はそれだけで輝きを放つ」と説得したエピソードが語られている。

『太陽にほえろ!』の殉職シーンも、萩原が降板を申し出たことから生まれたことはよく知られている。苦肉の策として生まれたそのシーンが、同ドラマの名物となっていく。その後も『君は海を見たか』『飢餓海峡』(フジテレビ系)や、映画『竜馬を斬った男』『いつかギラギラする日』『居酒屋ゆうれい』『TAJOMARU』など数々の作品で強烈なインパクトを残した。とにかく、やることなすこと次々と伝説になる稀有すぎる存在。今のテレビ、映画シーンでは考えられない“モンスター級のスター”だった。

■現代ではありえない逸話の数々。破天荒すぎるがゆえの副作用

 だが決して全てが順風満帆だったわけではない。80年代の大麻所持での逮捕から、飲酒運転での人身事故、スキャンダル絡みのカメラマン、編集者への暴行、トラブルからの恐喝騒動など、“宇宙人”と呼ばれる彼の鋭利な感性は歳を重ねてもサビることがなく、世間を騒がせ続けた。

 これらは、今の芸能界ではアウトとなる状況。だが、この頃は萩原という“人格”そのものが愛されていたため、“彼ならば仕方ない”という風潮があった。萩原自身が“ショーケン”であり続けることにこだわっていた人。つまり“生涯を賭けてショーケンという人物を演じ続けているエンターテイナー”であることも大きく関わっている。誰からも愛される萩原の存在は、どこか優等生ばかりとなった芸能界で非常に貴重だ。

■いまだ衰えぬ“鋭利な刃物”はおっさんブームの真打

 そんな萩原健一が現在、地上波の連ドラ出演としては2001年の『ファイティングガール』(フジテレビ系)以来17年ぶり(BSを含めると2016年の『鴨川食堂』(NHK BSプレミアム)以来2年ぶり)となる、『不惑のスクラム』に出演している。同作は高橋克典が主演で、ラグビーを通じて仲間と心を通わせる中年ラガーマンと家族の再生を描くハートフルドラマ。萩原が演じているのは胃癌を患う老齢のラガーマン・宇多津。彼の破天荒なイメージとは真逆の円熟を感じさせる人物で、「やんちゃの塊だったショーケンが愛すべきおじいちゃんになってる」「ショーケンの存在感が効いている」「これは続きが観たくなるやつ」など多くの視聴者が今後の展開に期待を寄せている。

 昨今は、『バイプレイヤーズ』『深夜食堂』『孤独のグルメ』『おっさんずラブ』などおっさんブームが起きているほか、三浦友和主演の『就活家族~きっと、うまくいく~』(テレ朝系)など、中高年が主な登場人物かつ中高年をターゲットにした作品が増えている。そんななか、萩原のテレビ地上波ドラマ出演は、人気、実力、伝説合わせて“真打登場”の趣があり、実際視聴者もこれに呼応している。

“おっさんブーム”がブームで終わらずに定着するきっかけとなるかもしれず、またテレビドラマにとって、さまざまなジャンルが定着して多様化するのは業界活性のために有意義なことだろう。

 妥協を知らぬ伝説の男・萩原健一。同ドラマの印象を含め本人の雰囲気的には丸くなったイメージがあるが、今年放送された『特集ドラマ どこにもない国』(NHK総合)の吉田茂役では、前髪を剃り上げて“デ・ニーロ・アプローチ”で役に挑むなど、68歳となった今もその刺すような尖った熱意と狂気は健在だ。そんな彼が今後どのような活躍を見せるのか。破天荒すぎる男ゆえに、次なる伝説が楽しみだ。
(文/衣輪晋一)

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